夫婦で一緒にお店をやろう!と決めたあの日。
でも人生にはいろいろな形があり、離婚するときはします。
飲食店を夫婦で営んでいる場合、
- 職場(お店)が同じ
- 住まいも同じ
- 共通の知人(お客さん)が多い
という特殊な状況が重なるため、一般的な家庭の離婚とは異なり悩みの深さが段違いです。
今回は綺麗な解決策よりも「営業を続けながら、どうやって精神と店を保ったか」という泥臭いプロセスを実体験に基づいてお話しします。
目次
お店を続ける?閉める?
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どちらが店に残るのか
話し合いの結果、夫が一人で引き継ぐことに。
お店を畳むという選択肢もありましたが、二人で作り上げてきた思い入れのあるお店。
お店を残したいと言う気持ちは共通でした。
方向性の違いやお互いの頑固さから夫婦で一緒にやっていくことは難しいと判断し、どちらかが一人でやろうということに。
レシピの考案などは夫が主体だったことや、
私一人では実現できない営業形態だったことが決め手でした。
ビジネスパートナーとして割り切るのは難しい
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私たちはぎくしゃくした関係の時でも、一緒にお店に立って営業していました。
お互いの嫌なところが目につき、言い合いになって、冷たい空気感が漂っていたと思います。
一時は仕事以外の時間は完全に別々にするなど「ビジネスパートナー」として割り切ることもしました。
でもお客さんの前で仲良し夫婦を演じ、帰った瞬間に笑顔が消える「仮面夫婦」の状態は想像以上にストレスが溜まるもの。
「生活の距離(別居)」をとる提案もしましたが、最終的には夫婦の修復が難しいという結論に至りました。
夫婦の痕跡をどうするか
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お店の名前は変えずに継続することにしましたが、課題は「夫婦の痕跡」です。
二人のモチーフが入ったショッパー
二人の顔が入ったデザインのものがあり(だからやめた方がいいって言ったのに!(笑))、夫が無料で配り切って処分することになりました。
一部レシピの引き継ぎ
私がドリンクやコーヒーのレシピ考案や作成を担当していましたが、元々お互いの役割を教え合っていたので、スムーズに引き継ぐことができました。
名義変更の手続き
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出ていく側が契約者になっていると少し手続きが面倒です。
水光熱費の契約名義が私になっていたので、切り替える必要がありました。
光熱費の解約が複雑
水道は電話一本でしたが、電気・ガス(楽天でんき)はIDの紐付けの関係で、一度他社に乗り換えないと解約できないなどの壁が。
結局、夫に新しく契約し直してもらうことにしました。
その他: 家賃や営業許可、事業用口座は元々夫名義だったので助かりました。
ゼロからの仕事&家探し
27歳専従者従業員からの就活
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専従者として働いていたため、雇用保険がなく失業給付金がもらえなかったのは痛手でした。
「自営業で生きていく」と思っていた私が、20代後半で再び就職活動をするとは。
最初は時給が高い年末年始の短期バイトや、夜勤の仕事なども探しましたが「飲食とは違う世界を見てみたい」と、未経験から不動産業界へ。
宅建士の勉強を始め、ダメ元で応募した第一志望の会社に採用が決まりました。
「もう失うものはない!」という開き直りが逆に良かったのかもしれません。
マンスリーもおすすめ
一時的な別居先に過ごしたマンスリーマンション、
ここでの生活はとても快適でした。
家具家電付きなので別居先や定住地までの住まいを探している人にとてもおすすめです。
お客さんへの報告
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常連さんなどに「最近、奥さん見ないね」と聞かれた際、夫は当初「体調不良」や「妻が新しい仕事を始めた」と伝えていたようです。
離婚届を提出してからは、夫がお客さんに徐々に打ち明けてくれました。
SNSは個人アカウントでのみ報告
一人一人に説明をするのも大変なのでSNSで報告するかとも話し合いましたが、一斉に知れ渡ることやネガティブな噂が広がるのを避けるため、親しい方に直接少しずつ伝える形をとりました。
私はよくしてくれたお客さんに挨拶もせず出ていくのもなあと思い、個人アカウントで「お店やお客さんへの愛は変わらない」という伝えたい気持ちを綴り最後のご挨拶としました。
飲食店特有の「資産配分」
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借金がない前提ですが、大きくは以下のように整理しました。
事業資産=夫、生活貯金=私
- 事業用資産(内装費用・厨房機器): 夫が引き継ぐ
- 共有の貯金(約170万円): 私がもらう
- 家具家電: 夫がそのまま使う(私が家具家電付き物件に引っ越すため)
お店は引き続き営業するので折半することができません。
事業のお金は二人で折半して出し合ったものですが、その出資費用と残った共有貯金がほぼ同額だったので、事業用資産=夫、生活貯金=妻の私ということでお互い納得。
お互いに納得感を持って分けることができ、ここは非常にスムーズでした。
ほとんどの家具家電を置いていく代わりに、カメラやドライヤーなど欲しいものは相談して持っていかせてもらうことに。
意外と忘れがち!最後に確認すべき2つのこと
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円満にお店を離れるためにも、物理的なものと書類の手続きも忘れずに行いましょう。
お店の鍵・カード類の返却
私は鍵を返し忘れたまま引っ越してしまい、後から簡易書留で送る羽目になりました……。最後にお店を出る際、返却リストを作っておくとスムーズです。
源泉徴収票の用意
専従者として働いていた場合、転職先での年末調整や、自分で確定申告を行う際に必ず必要になります。「離婚して連絡しづらくなった後」に頼むのは気まずいもの。お店にいるうちに、忘れず作成を依頼しておきましょう!
まとめ「自営業夫婦の離婚、得たものとこれから」
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「夫婦で仕事をするのはおすすめしない」とよく言われますが、確かに離婚した瞬間に「仕事」も「家」も失うリスクはあります。
でも自営業だからこそ出会えた個性豊かな人たちや貴重な経験は、会社員では得られない宝物でした。
これからはその経験を糧に、「社会の歯車」の一人としてがむしゃらに働いていこうと思います。
新しいスタート、意外となんとかなるもんです!
